北朝鮮スクープは一日にしてならず、である。さらに、なぜ中国や北朝鮮をテーマにしたのかも聞いてみた。

習近平と金正恩の言動を追うのが本丸

「どうしたら自分が先輩たちと伍していけるか考えた末、思いついたのが国際部の世界でした。天安門事件、ベルリンの壁崩壊、ソ連崩壊、北朝鮮の核危機など、世界は激動していました。それを報道する私自身も、日々興奮の中にいました。しかしインターネットもない時代ですから、東京にいながら最新の国際情勢をキャッチしようというのは難しい話でした。

新聞やテレビの特派員たちには到底かないません。でも、北朝鮮だけは、どの社も支局がなかったため(共同通信が平壌支局を開設したのは06年)、こちらの努力次第で新聞・テレビの記者たちを出し抜くことができ、スクープも取ることができました。中国もブラックボックスの社会主義国なので、特派員との差を縮めることができたのだと思います。

こちらがある程度の水準を突破すると、今度は特派員(外信部記者)たちの方から、会ってほしいと言われるようになりました。いまでは外信記者の方々のことは、まったく意識していません。習近平と金正恩の言動を追うというのが本丸だと思っているからです」

北朝鮮情報の遮断はむしろ危ない

現役の新聞・テレビの記者諸君、彼のこの意見を何と聞く。

彼のスマホを見せてもらった。中国から北朝鮮、韓国の現地のテレビ、新聞、インターネットサイトまで、ありとあらゆるアプリが入っている。

中国情報の中にも反政府的なものはあるが、当局がすぐに探し出し削除してしまうから、時間との勝負である。一日に読む量は膨大なものだろう。

そのためだろうか、少し前に失明寸前まで目を悪くしてしまい、何カ月か入院した。ようやく回復してきて、パソコンのメールは見られるようになってきたが、原稿を打つのはもう少し時間がかかるという。

安倍政権は北朝鮮情報を遮断しているため、国民には日朝関係を判断するための材料がほとんどない。彼の存在はますます貴重である。

最後に少し苦言を呈しておく。彼のところに情報が集まりすぎて吟味・検討するための時間が少ないのか、週刊誌育ちの習性なのか分析にやや甘いところが見られる気がする。さらなる精進を期待したい。

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