もう少し早く「HP」が導入されていたら

岩瀬はもう1つ、隠れた記録ホルダーである“可能性”がある。「可能性がある」と書いたのは、正式なデータがないからだ。

中継ぎ投手が、その職責を果たした時に与えられる「ホールドポイント(HP)」。細かい規定は省くが、自軍が同点もしくはリードしている時に投げて、次の投手に無難引き継いだ時のポイントだと思えばいい。岩瀬はこれまで79(同)のHPを得ている。これはさほど驚く数字ではない。最高記録は巨人・山口鉄也の324(同)だ。

しかし、HPという記録は、岩瀬が抑え1本となっている05年からカウントされるようになったことを忘れてはないらない。先ほど書いたように、岩瀬は1999年から04年の途中まで、中継ぎ投手だった。それもリーグを代表する存在だった。

主に接戦や勝ちゲームで60試合程度の登板を重ねてきた岩瀬。もし入団した時からHP制度が導入されていれば年間40程度を稼いでいたことだろう。6年間、40ずつHPを稼いでいたら240。05年以降が79だからトータルすると319。実質的に歴代最高記録級の活躍ということになる。岩瀬は、抑えとしてだけでなく、中継ぎ投手としても日本有数の実績を残してきたのだ。

今年は抑えを田島慎二に譲り、中継ぎに徹してきた岩瀬。ところが6月23日には3年ぶりにセーブを記録。42歳、”老いて”ますます盛んだ。今後もHPやセーブを積み重ねながら登板回数949に近づいていくことだろう。そして来年は1000試合登板を目指すことになる。

(写真=時事通信フォト)
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