津波で壊滅した低い海浜地域は緑地化して公園や運動場などをつくり、公共の頑丈な建物だけにする。その内陸の安全な高台に住宅地を移す方向で考えるべきだろう。こうした費用は国がすべて負担する。
崩壊した港も原状回復するのではなく、港の機能を集約していく。日本には2950の港があるが、あまりに数が多すぎる。年間水揚げ高より港湾整備費のほうが高い漁港が2000以上もあるのだ。
今後は今回以上の津波から町を守れるような巨大な防波堤と防潮堤、水門を備えた近代的な港を建設し、その代わり港の数をぐっと絞り込む。宮古、釜石、大船渡、石巻、塩釜、気仙沼などの重要な港に限って強固に再建して、桟橋や市場の機能も近代的に整備する。
小さな漁港は廃止して、関係者は大きな漁港に移るか、通勤してもらう。日本の漁業関係者は職住近接で通勤とはほぼ無縁の生活をしてきたが、これからは高台の安全な家から“通勤”するという概念で漁港を再建する。日本全国の港湾を集約して巨大化、近代化し、国際競争力のある港に整備していく最初の一歩にするべきだ。
幸い私の3月19日に発表した、こうした東北復興プラン(および東電福島第一原発の今後のステップ)は、ほとんどそのまま政府の示す計画に盛り込まれている。集中して考えれば1週間で枠組みと方向性が出せる、という何よりの証拠である。わけのわからない面子を揃えて、ずるずると6月まで復興プランのご託を並べている政府には指導力のカケラもない。
復興プランの枠組みを東北に限定する必要はない。東北が立ち直るのを5年、10年と指をくわえて見ていたら、日本は立ち上がる気力をなくしてしまう。日本全体の復興にも取り組むべきなのだ。
一案として、その先導役を日本全国の“変人知事”にやらせてみる。本連載でも少し前に触れたが(4月4日号)、都構想を打ち出しているような地方自治体に特に土地の使い方に関する権限を与えて、自由な発想で都市再開発や産業政策をやらせるのだ。