それならば震災復興の目的限定、最大2年の期間限定で消費税を2%アップして7%にする。消費税を1%上げると2兆円の税収になるから、2%で4兆円。最大2年で8兆円の復興財源が得られる。当然、国債の暴落とは無縁の財源だ。
所得税や法人税に手を付けようという議論もある。現在の所得税の限界税率は地方税を含めると50%で、世界最高税率である。これ以上税率を上げたら、金持ちはペーパーカンパニーなどに逃避するだろうし、サラリーマンの不満は一気に高まる。
一方、5%減税が見送られそうな法人税。世界の法人税が25%に向かって収束し、アジアでは15%をめぐって企業の誘致合戦が繰り広げられている時代に、40%に戻そうという話だ。
被災した東北や電力不足に陥った北関東には隠れたハイテク優良企業が多い。今回の震災で生産基地を分散する必要性を痛感したはずで、今後、恐らくキャパシティの半分程度は国外に移すことになるだろう。加えて税金を下手にいじれば、企業の海外シフトは加速する。従って増税できるオプションは埋蔵金か消費税しかないのだ。
過去、消費税を上げた総理大臣は全員退陣を余儀なくされているから、今回も苦労するだろうが、何より“復興”という大義名分がある。また期間限定、目的限定でやること。「皆さん、大いに食べて飲んで使って、東北に復興資金を送りましょう」とアピールすれば国民も受け入れてくれるだろう。
「阪神大震災では12兆~13兆円の復興費用がかかった。今度は最低でも20兆円かかる」などと、したり顔の学者や汚らわしい政治家は口にしているが、入り口を塞ぐような数字を持ち出す必要はない。最初から20兆円の財源を求めたら誰も考える意欲などなくしてしまう。4兆円、8兆円からスタートしなければ、復興の入り口にも立てない。