適用できる人を増やすには勤務必要経費の「65万円」という上限枠を撤廃すべきです。そのうえで特定支出の範囲を拡大する必要があるでしょう。政府内でも動きが拡がっています。今夏、厚生労働省は自民党への税制改正要望に、特定支出にベビーシッター費用を加えることを盛り込みました。16年度の税制改正では実現しない見通しとなりましたが、注目すべき動きです。
ほかにもお得な所得控除の制度はあります。まず調べてほしいのが「医療費控除」。生計をともにする家族の医療費の合計が年間10万円以上(もしくは年収200万円未満の場合は総所得金額等の5%以上)の場合、超過分を所得から控除できます。医療費といっても入院費用や薬代だけでなく、病院に行くタクシー代などの交通費も対象です。また「ふるさと納税」もお得な制度です。自分が選んだ自治体に寄付をすると一定範囲で控除が受けられ、寄付額の3~5割程度に相当する「特産品」を送る自治体が増えています。
手間はかかりますが、サラリーマンでも確定申告するメリットはあります。特にふるさと納税は、利用者が急増すれば制度が見直される恐れもあります。面倒に思わず、いまのうちに利用しましょう。
生活デザイン代表。CFP。1968年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。自動車メーカー勤務を経て独立。運営する「家計の見直し相談センター」では2万世帯を超える家計診断を行っている『やっぱりサラリーマンは2度破産する』など著書多数。