総合商社と食品会社の複雑な資本関係
伊藤忠商事は、セブンイレブン向けが多いとはいえ伊藤忠食品、日本アクセスなどの食品卸を抱える。三菱商事の子会社で食品卸の三菱食品は、売上高の2割強がローソン向けである。
それだけではない。『図解! 業界地図2017年版』の「食品(1)(2)(3)」を見てみると、コンビニやスーパーに欠かせない食材を提供している食品会社と商社の関係がよくわかる。
伊藤忠製糖 不二製油グループ 昭和産業 雪印メグミルク プリマハム
▼三菱商事が出資している主な食品企業
大日本明治製糖 塩水港精糖 永谷園HD 日本食品化工 六甲バター 伊藤ハム米久HD
日清製粉グループ本社 日東富士製粉
上記以外にも、伊藤忠商事と三菱商事の両社は日清食品HDの株式を所有。伊藤忠商事はサークルKサンクス向けの弁当や調理パン、おにぎりなどを手がけているカネ美食品に出資していたが、ユニー・ファミリーマートHDを通して、関係が強まった形だ。カネ美食品はユニー・ファミリーマートHDの関連会社である。
流通最大手イオンのコンビニ、ミニストップの国内店舗は2221店舗。セブンイレブンやファミリーマート連合、ローソンに比べて小ぶりで、収益力も見劣りするだけに、イオンも打開策を打ち出したいところだろう。考えられるのは、ローソンとの協力関係だが、ローソンを子会社化する三菱商事は、イオンの筆頭株主でもある。
大きな影響力は及ばないものの、三井物産もセブン&アイHDの株式を2%弱保有している。
セブンイレブンが1歩も2歩も抜け出しているのは事実だが、ファミリーマートとローソンの2、3位の座を巡る争いと、それを取り巻く総合商社の動きからは目が離せない。