ATMが人間に代わって稼ぐセブン銀行
3大金融グループはどうだろうか。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の従業員1人当たりの当期純利益は857万円(15年度)で、15年度を含めた過去5期平均は989万円である。みずほFGは1190万円(5期平均1086万円)、三井住友FGは878万円(5期平均1053万円)だ。
グループ従業員が11万人台の三菱UFJFG、6万人台の三井住友FGに対して、約5万6000人と少人数のみずほFGが、過去5期平均を含めてもトップだった。
3大金融グループの中核企業である銀行はどうか。
三菱東京UFJ銀行は856万円(5期平均967万円)、みずほ銀行1582万円(5期平均1448万円)、三井住友銀行1255万円(5期平均1383万円)となっている。グループと同様に従業員が少ないみずほがトップ。従業員数は三菱東京UFJ銀行が約8万人、三井住友銀行は5万4000人、みずほ銀行は3万5000人強である。
ファナックやキーエンス、トヨタ自動車、それに3大金融グループなどの従業員1人当たりの当期純利益を比較してきたが、それら日本を代表する企業を上回っているのがセブン銀行だ。
セブン銀行の16年3月期当期純利益は247億円。それをグループ従業員619人で割ると、3992万円になる。11年度~15年度の5期平均は4017万円である。
国内事業を手がける単体ベースに限れば5725万円(15年度)にアップするように、セブン銀行の1人当たりの当期純利益額は国内トップ級の水準だ。親会社のセブン&アイ・ホールディングスの場合は300万円前後での推移であり、セブン銀行の1人当たりの稼ぎの多さが際立つ。
高い水準の稼ぎを可能にしているのは何か。グループのセブンイレブンなどに設置しているATMである。
減価償却が進んでいることから1台100万円程度の資産価値になっている機械(ATM)が人間に代わって稼ぐ――。セブン銀行が“異質”の銀行といわれる所以である。同銀行の従業員平均年間給与658万円は、700万円台の三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行、800万円台の三井住友銀行を下回るが、ATMに稼がせていることが要因なのだろうか。
さて、セブン銀行のATM1台平均の収支はどうなっているのか。『図解!業界地図2017年版』(プレジデント社)では、過去からの推移を含め明らかにしているが、1台につき毎日毎日1万円の稼ぎはあるようだ。