妻の通勤時間が長い夫婦の関係は、険悪
【ケース2 夫:75分、妻:60分】
半年ほど前、転勤で夫のみ通勤時間が15分増加(以前は60分)。妻は変わらず60分。
「夫は通勤時間以上に仕事量が激増したので、家事・育児の負担は私が増えました。夫は、平日の朝一瞬しか子供と接していませんね。一時期、どちらも疲れによる苛立ちがピークに達し、夫婦仲はギスギスしていました」
ハードな仕事を終え、1時間15分もかけて帰宅する夫。帰ってからご飯を食べるのがしんどくて妻が食事を用意しているのを知りながら、外食して帰宅したり、時には会社近くで泊まったりすることもある。休日は、仕事+通勤時間のW負担の疲れを取るため一日中寝ているので、妻の育児負担と怒りは増大する。
「ある日、夫に『こっちだって疲れてるのに頑張ってるの。一日中寝かせてもらったんなら『ありがとう』くらい言ってよ!』とハッキリ要望を伝えました。すると思いやりの言動が増えてきて、私もだんだん夫に寛容になってなんとか夫婦仲は落ち着きました」
夫は一生懸命働いている。にもかかわらず妻から苦情を言われる。通勤時間だけがそうしたトラブルの要因ではないだろうが、もし、あと30分でも通勤時間が短ければ、その分を子供と接する時間などにすることは可能だろう。
長時間通勤を強いられた妻「ずっと根に持っています」
【ケース3 夫:5分、妻:90分】
結婚を機に、それまで通勤時間が30分だった妻が、夫の職場の近くに引っ越して通勤時間が激増。その後、出産を機に、階段利用のマンションからエレベーターつきのマンションに転居した。通勤時間は、夫:30分⇒5分、妻:1時間⇒1時間半と双方の利便性のバランスがさらに偏る形になった。
現在の住居に決めるまで、双方の利害が一致せず平行線が続き、ついに出産直前、タイムリミットが迫った段階で妻が折れたそうだ。
「この(自分だけが長時間通勤になった)件、ずっと根に持っています。ただでさえ産後は私のほうが仕事に制限が出るのに、さらに時間的制限が加わり、肉体負担も増しているわけですから。でも夫にそれを訴えても一向に聞き入れてもらえません。それどころか、『何度引っ越せば気が済むんだ!』と激怒されます。私の体調などお構いなし。そんな夫に愛情が持てるでしょうか? もはやいつ離婚してもおかしくありません」(妻)
妻は産後、左手が腱鞘炎になり、重い荷物を抱えての長距離移動により肩こり腰痛も慢性化。体重も産前より3kg減った。一方、夫は体重が増え、健康診断の結果はオールAだったという。
収入の柱は夫というケースは多いだろう。しかし、仕事を持ち、育児を中心的に担う妻の移動時間の負担をあまり軽視しないほうがいいのかもしれない。
では、3つのケースを整理してみよう。
ケース1は夫婦ともに短時間通勤で関係もよし。
ケース2は夫がやや通勤時間が長いことで妻に負担が偏り一時期関係は悪化したが、軌道修正してなんとか夫婦関係はキープ。
ケース3は通勤時間のバランスが極端に悪く、その状態を強行続行しようとする夫と妻とで争いが絶えない現状。