決して年収は高くないのに、お金を貯められる人がいる。どこか違うのか。雑誌「プレジデント」(2017年2月13日号)の特集「金持ち夫婦の全ウラ技」より、人生の3大出費のひとつ「住宅」にまつわる知恵をご紹介しよう。第12回は「職住近接」について――。(全12回)

オンオフ切り替えは本当に必要か

職住近接については、そのデメリットを挙げる人が多いですね。「仕事とプライベートのオンオフが切り替えられない」「家賃や物価が高い」「友人に溜まり場にされそう」などなど。

しかし、ことお金持ちになろうとするなら、まず職場と家を近づけることが1番簡単な方法だと私は思います。

都心の新宿や渋谷などに社を構えるベンチャー企業などでは「2駅ルール」や「3駅ルール」という住宅手当の支給方法を導入するケースが増えています。

これは、勤務地から2、3駅以内に住んでいれば2万〜3万円程度、住宅手当を増やしますよというもの。交通費は近所に住んでいれば月5000円程度で済みますから、会社にしてみても決して損ではありません。

それ以上に会社側、経営者側から言えば従業員が勤務地のそばに住んでいてくれることは、多くのメリットがあるのです。

仕事の円滑さや精度が変わってくる

まず第1に、移動時間が少なければ少ないほど事故やトラブルに巻き込まれる可能性が低くなります。電車が止まってしまっても、大事な約束や会合に遅刻する確率が減るわけです。

次に従業員の通勤ストレスが軽減されること。ラッシュ疲れもなくフレッシュな状態で仕事に打ち込んでもらえればそれだけでコスト削減になります。

従業員同士のコミュニケーションが促進されやすいことも、隠れたメリット。「仕事終わりに上司や他部署の人間とコーヒーを1杯」という雑談タイムがあるのとないのでは、仕事の円滑さや精度が変わってきます。

要するに同じ中身の人間なら、会社のそばにいる社員のほうが、クオリティの高い仕事ができると会社は評価しているということです。逆に働く側の立場で言えば、近くに住むだけで自分のスペックがアップして評価されるのだから、職住近接の恩恵は大きいというわけです。

しかし、都心に近いと、当然家賃や不動産価格が高くなります。この分の出費を抑えるためには工夫が必要です。