なぜ、岡田代表はあの時「不出馬」表明したのか

その一方で執行部と花斉会は絆を強めてきた。そもそも野田氏が首相になった時、それを支えたのが岡田克也代表という関係。2015年1月の代表選では、今度は野田元首相が岡田氏を支えた。岡田氏も「野田氏とは太い信頼関係で結ばれている」と述べている。

野田氏に近い近藤洋介衆院議員は役員室長を務めた時、筆者にこう話したことがある。

「私は岡田さんを支える。野田さんにそう頼まれたから」

これは単なる友情ではないかもしれない。昨年秋、ある民進党関係者は民進党の議員からこんなことを聞かされた。

「岡田代表の次の代表は花斉会から出すことになっている。代表ポストは岡田側と野田側とのキャッチボールになる」

実際にポスト岡田として、早々と花斉会所属の蓮舫氏が出馬表明。党内の空気を制する“早出しじゃんけん”を可能にしたのは、7月30日の岡田氏の代表選不出馬宣言だ。

なぜ岡田氏は31日の都知事選投票日の前に不出馬表明をしたのか。岡田氏が会見で述べたところによると、表明の1週間ほど前から代表選不出馬について考えており、野田氏を含む関係者に事前に話をしていたという。それが漏れて報道されたため、正式な会見となったということだ。

ではこの話を事前にマスコミに漏らしたのは誰か。その人物は岡田氏が早期に不出馬表明を余儀なくされることで、代表選を蓮舫氏に有利なように仕組もうとしたのではなかったのか。

すでに“早出しじゃんけん”で小池百合子氏が有利に都知事選を展開しており、勝利はほぼ確実になっていた。そしてマスコミに情報を漏らした者の思惑通り、民進党代表選は蓮舫氏の優勢で進みそうだ。民進党では冒頭で述べた意見の他、「蓮舫は好きではないけど、今回は票を入れる」という意見も多い。

自民党側も、むしろ蓮舫新代表の誕生を歓迎している。

「玉木氏などが代表になれば、来年の通常国会でアベノミクスの失敗について細かくやりこめてくる。蓮舫代表ならその心配はない。我々としても歓迎したい」

実際に蓮舫代表となれば、早期解散もないと見る向きもある。それも民進党内で“蓮舫新代表歓迎説”の根拠のようだ。

民主党政権時に仕分け作業で「2番じゃいけないんですか」と述べた蓮舫氏。その蓮舫氏はすんなりと党内の1番の座におさまりそうだ。

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