出馬に意欲を見せる前原氏

そのような党内で鍵を握ると思われるのは、8月3日に発足した旧維新の党グループだ。

同グループのメンバーは党内最大の23名。単独で候補を擁立も可能だ。実際に江田憲司氏は、自身の出馬可能性も示唆している。

しかし単独で候補を擁立しても、勝利の見込みは薄い。そこで考えられるのは、他の候補をサポートすることだ。江田氏は昨年、前原誠司元外相と細野豪志元環境相とともに新党結成に動いたこともある。もっとも細野氏は早々に代表選不出馬と蓮舫支持を表明したため、出馬の可能性はない。一方で前原氏は出馬の意欲を見せ、9日にはサンクチュアリ(旧社会党系)を率いる赤松広隆元衆院副議長、10日には素交会(旧社民党系)会長である大畠章宏元経産相と会談し、支持を求めている。

また2日に開かれた凌雲会(前原グループ)の会合では、8日発売の「世界」に掲載された井手英策慶應大学教授との対談のコピーを配布。井手教授は社会統合を研究する財政の社会学の学者で、山口二郎北海道大名誉教授が8月4日にツイッターで「前原誠司が井手英策氏をブレーンに迎えていたという話は前から聞いていた。分断社会を終わらせるというメッセージこそ、今の民進党に最も必要。前原から社会民主主義路線が出てくることは歓迎したい」と絶賛している。

共産党との野党共闘については、蓮舫氏も前原氏も否定しているわけではない。むしろそれを争点とするより、前原氏は、前回の参院選で野党が埋もれた原因は政策議論が盛り上がらなかったことと見て、代表選では政策議論をやりたい方向だ。

そんな前原氏の出馬に対し、凌雲会内部にも賛否ある。会合に参加した向山好一兵庫県議はこう述べる。

「2日の会合では出馬すべきだという意見と、すべきではないという意見に分かれた。私は出馬すべきだと思う。ただし前原氏には保守の路線を明確にした上で、蓮舫氏と闘ってほしい」。

別の元議員は「私は現職議員ではないから推薦人にはなれないけれど、選挙区に400人の党員・サポーターがいる。彼らに『前原誠司』と書いてもらうのは可能だ」と前原氏に期待を寄せた。

ただ前原氏にとって残念なのは、支持者の多くがすでに現職議員ではないという点だ。