専門性が高ければ良いというものではない
少し極端かもしれませんが、この事例のようなことは、実際にあります。経営トップに取り入ったコンサルタントが、現場の状況を無視して理想論を並べ立てる……。さて、この経営コンサルタントのBさん。専門性は高いでしょうか、低いでしょうか? 経営手法の知識の高低で言うと、とても高いですね。知識は豊富で、事例もたくさん知っています。
でも、AさんはBさんと話した結果、とっても困ってしまいました。このあと営業改革はうまくいくでしょうか? 営業本部長のAさんの協力なくして、うまくいくわけがありません。専門性の高いBさんですが、営業改革プロジェクトは大失敗しそうです。コンサルタントとして失格の烙印を押されてしまうかもしれません。
あれ? おかしいですね。専門性だけ高くても、コンサルタントとして評価されないということは、「コンサルタント=専門家」という考えと矛盾しませんか?
「クライアントを持つ」のがプロフェッショナル
実は、プロ野球選手やプロ棋士などのプロと、コンサルタントや弁護士や会計士などのプロとは大きな違いがあります。それは、「クライアントを持つかどうか」ということです。
コンサルタントなどのプロは、クライアントを持ちます。クライアントは高い料金を払ってプロを雇うわけですから、自分の役に立つのかどうかが、一番重要になります。つまりプロは、「クライアントのために」という価値基準を最優先させなければならないのです。専門性を発揮したかどうかは二の次なのです。
Aさんの例に戻ると、経営コンサルタントのBさんは自分の専門知識をひけらかしただけ。専門性が全く役に立っていません。「クライアントのために」という採点基準で見ると、ゼロ点です。こんなコンサルタントは要りません。
では、どういうコンサルタントが良いコンサルタントなのでしょうか?