正規と非正規の「不合理な格差」
20条は2012年8月に公布された改正労働契約法で誕生し、有期と無期契約労働者の不合理な格差を禁じており、現在話題になっている正社員と非正社員の格差を是正する「同一労働同一賃金」に向けた法律改正の核になっている条項でもある。
20条の内容は、まず有期契約労働者の労働条件と無期契約労働者の労働条件が相違する場合は、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止するものだ。
では、その労働条件の相違とは何か。
「職務の内容(労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう。以下同じ。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、有期契約労働者にとって不合理と認められるものであってはならない」
とされている。
つまり、
(1)職務の内容(責任の程度)
(2)当該職務の内容及び配置の変更の範囲
(3)その他の事情
――の3点に照らして正社員と同じであれば不合理だと言っている。
だが、これだけの説明ではよくわからないだろう。
(1) の「責任の程度」はある程度理解できるが、(2)の「当該職務の内容及び配置の変更の範囲」とは、厚労省の通達によれば「今後の見込みも含め、転勤、昇進といった人事異動や本人の役割の変化等」を指している。さらに(3)の「その他の事情」とは、合理的な労使の慣行などの諸事情を想定している。
それでも改正労働契約法の中の「不合理な格差」の意味がわかりにくいが、要するに幅広の解釈ができるような建て付けになっている。