創業者は難病に負けず、いまも奮闘中
創業者の上田は、高校卒業後に東京ガスに入社。当初は仕事に身が入らず、遅刻や欠勤を続ける不良社員だった。しかし、ある上司に出会い、感化を受けて、「1日のうち10時間も費やす仕事を楽しく、面白く過ごさなければ」と思うようになった。以来、人が変わったように働き始め、最後は社内で最高の階級(理事)になった。高卒で理事になった社員は上田が2人目だったという。
上田は1991年に東京ガスの子会社のガス機器メーカーの再建に取り組み、3年間で累損を一掃、黒字会社に変えた。
続いて、その会社の協力会社としてガス機器の修理・施工を請け負っていた東京器工の建て直しを要請され、97年に東京器工の社長となり、2年後に単年度黒字化、5年後には累損を一掃した。
東京器工の社員は平均年齢が高かったことから、定年後も働ける職場をつくるべきだと上田は思うようになり、有志6人で2000年に高齢社を設立。当時はまだ上田が東京器工の社長だったため、仲間に初代社長を任せた。
2003年に東京器工の社長を辞し、高齢社の社長に就任したが、そのとき上田を難病が襲っていた。パーキンソン病だった。病名が分かったのは、高齢社社長になった翌年のこと。上田は66歳だった。
それでも、上田は自分が産み落とした高齢社のために取引先の開拓に奔走。東京ガスだけでなく、他にも派遣先を広げていった。
病状は刻々と悪化。手足が震え、歩くこともままならず、言葉も思うように出なくなってきた。
幸山が入社したのが2014年。その前年には上田の病状が深刻になり、会話も充分にできなくなくなっていた。それでも転倒しながら出勤し、事務所で寝ていたという。
「私も東京ガスで工事・保安の仕事をしていたので、上田のことはよく知っていましたし、東京器工のときも手伝いました。子会社の社長を務めて65歳で定年し、会社のOB会に出席したことでまた、上田との接点ができました。上田の病状が悪く、助けてほしいというので、高齢社の社長を引き受けたのです。でも、その後、不思議なことにどんどん病状が快復しましてね、いまでは元気に別会社ユメニティの社長をやっていますよ」と、幸山は笑う。
上田は現在、グループ内のユメニティを経営し、住宅のリフォームや技術・知識を持つプロシニアの派遣、障がい者支援に力を入れているという。
上田は現在、78歳。高齢社中で最も元気な高齢者の代表が創業者自身と言えそうだ。
(文中敬称略)
●代表者:幸山明雄
●創業:2000年
●業種:各種人材派遣業、有料職業紹介事業など
●従業員:18名
●年商:4億9000万円(2015年度)
●本社:東京都千代田区
●ホームページ:http://www.koureisha.co.jp/index.html