【田原】おもしろい。変えた後、日本のユーザーの反応はどうでした?

【山田】とくに変わりなかったです。日本人も、すでに日常的にフェイスブックやGメールを使っています。それらを問題なく使っているのだから、日本のユーザーのために日本っぽくする必要はない。そこは間違えてはいけないと思います。

【田原】アジアはどうですか。

【山田】メルカリのビジネスを展開するには、決済と物流のインフラが必要です。日本は支払い方法がたくさんあるし、安価に早く物を届ける物流網もある。アジアはまだ整っていないので、現段階ではちょっと早い。欧米の後に、インフラが比較的整っている台湾あたりから入って、タイやベトナムといったところに広げていくことになると思っています。

【田原】わかりました。世界展開、注目しています。

田原氏への質問:優れた政治家と経営者、違いを教えてください!

【田原】優れた政治家は、よく言えば柔軟、悪く言えば日和見。たとえば安倍晋三は日和見の典型でしょう。従軍慰安婦の問題でお金はこれ以上出さないと言ってきたのに、今回パッと払うことにした。どう考えても矛盾しています。でも、政治家は清濁併せ呑むしたたかさが要る。状況に応じて意見を変えてもいいんです。

一方、経営者は日和見だと大成しない。経営では、市場のニーズに応えて柔軟に対応していくことが大切だと言われます。しかし、経営者を見ていると、市場に振り回される腰の軽いタイプより、むしろ自分の信念を持って、それを貫き通しているタイプのほうが成功している。トップは決してブレない思いを持つことが大切です。

遺言:政治家は日和見、経営者はブレるな

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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