中国で滅んだ文化を受け継ぐ国

爆買いといっても、とんでもない富裕層を別にすれば、1人あたりの買い物額はだいたい20万円ぐらい。初めて海外旅行に出た人が多いことを考えれば、まあこんなものではないでしょうか。

もちろん、彼らも政治の影響は受けます。尖閣問題が緊迫した頃は、さすがに日本に行きたいとは言いづらかった。でも、2014年のAPEC首脳会議で習近平国家主席が安倍首相と会談すると、じゃあ私たちももういいでしょうと(笑)。

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日中・文化交流略史

一方、若い世代の日本好きの感覚は、親の世代とは少し違うかもしれません。80年代の親日はいわば「官製」でしたが、ネットを駆使する今の世代は、ファッション、アニメ、音楽といった自分の趣味嗜好を通じて、各自が日本の魅力を発見しているんです。

中国のちょっとインテリな人たちからよく聞くのは、彼らにとって、日本がある種の「パラレルワールド(※)」に見えるということです。「中国がこういう国になっても不思議ではなかった。でも現実問題として違うのはなぜか」という問いが彼らの中にある。

※パラレルワールド……自分が住んでいる世界と並行して存在する、もう一つの世界のこと。

禅にしても、武士道にしても、茶道にしても、ルーツはどれも中国です。でも、中国本土ではこれらの文化は受け継がれず、今は廃れてしまいました。一方日本では、それらがきちんと体系化され、代々受け継がれてきたばかりでなく、現代のグローバルな文化にも「日本発」のカルチャーとして影響を与えています。