Pepperが社員の健康状態を管理!?
Pepperの完成度を高めるためには、できるだけ多くの情報を経験することが重要になる。だが、それを1台のPepperだけで行う必要はない。Pepperが得た多くの情報は、インターネットを通じて専用のクラウドシステムに送ることができるからだ。
世界中のPepperから集めた数値やパターンを「クラウドAI(人工知能)」が学んでいく。そのため、Pepperの経験値は加速度的に向上していく。「クラウドとビッグデータとロボットはとても関係が深いと考えています」と小林社長は話す。
Pepperはスマートフォンと同じように、アプリをダウンロードして利用することができる。今のところ"キラーアプリ"といえるような人間の生活に欠かせないものは生まれていないが、Pepper普及のカギを握るのはアプリであることは間違いない。
ソフトウェアメーカーであるテンダもPepper用のアプリの開発を進めている。例えば勤怠管理。社員が出社したときと退社したときにPepperとハイタッチをすれば、就業時間がわかるというもの。労働時間が長い社員に対しては「働きすぎだけど大丈夫?」などとPepperが話しかけてくれる仕組みも検討しているという。
「iPhoneの『Siri』やAndroidの『音声アシスト』といった音声パーソナルアシスタントの性能が、最近になって一気に向上しました。Pepperにもそれと同じようなことが起こり、いずれ普及が進むと考えています」(小林社長)
3年後にはIPOを、10年後には未来志向を持ち、大きなインパクトを社会に与えるビジョナリーカンパニーになることを目指しているテンダ。
「IPOに向け、3年間で売り上げを現在の2倍ぐらいに増やしたいと考えています。利益も生み出し、それを研究開発に回していきます。こうしたことが実現するころには、事業形態が変わっているかもしれません。Pepperの導入はそのための火種になるでしょう」と小林社長は話す。
また、小林社長はテンダの持つ伝統をますます高めていきたいともいう。
「当社は、社員同士がそれぞれの持つ良い面にフォーカスして人間関係を構築していくことに力を入れてきました。その結果、困ったり、悩んだりしている社員がいれば、ほかの社員がサポートするというカルチャーが自然と出来上がってきました。この伝統を守り、さらに高めていくことで業績も向上すると確信しています」
テンダは、伝統である社員同士の信頼関係の良さをさらに高めていくとともに、他社に先んじてPepperを導入し、Pepperが持つ能力をビジネスに生かしていくという攻めの姿勢で計画を実現させる方針だ。