「パブロフの犬」にあなたはなっている
ここからは、「第3の案」をつくり出すためのプロセスを紹介しましょう。「第3の案」を生み出す人は、たとえば「会議で自分と異なる意見を出される」などさまざまな刺激に対して、すぐに拒否する理由を探したり、「相手が上司だからここは自分が折れよう」と自分の意見を取り下げたりはしません。主体的に自らの行動(反応)を選択します。「パブロフの犬」の実験については、みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。「ベルを鳴らしてからエサを与える」ということを続けていると、犬はベルが鳴るだけで涎を出すようになるという心理実験のことです。「自分と異なる意見を出される」という刺激に対して、すぐに「拒否反応を示す」「自分の意見をとり下げる」という人は、パブロフの犬とまったく同じです。何も考えず、主体的な選択もできていません。これを「主体的」ではなく「反応的」と呼んでいます。
「第3の案」を生み出す人たちは、刺激と反応の間で自分自身の選択の自由を行使しています。たとえば会議で信頼している人から自分と異なる意見を出されても、その意見を違った視点からの意見として理解し、受け入れ、自分自身が影響を与えられる範囲の中で「第3の案」を生み出していこうと考えます。これが主体的な反応です。このような主体的な反応を選択できる人が、「シナジスト」の資格を持ちます。そして、その選択の中で「Win-Winの意思を持つ」「お互いに成功を定義する」「『第3の案』創造のための方法を模索する」という3つのことを行うのが、「第3の案」を生み出すためのプロセスになります。
世界38カ国に拠点を持つフランクリン・コヴィー・グループの創設者。1952年ユタ大学卒業。57年ハーバード・ビジネス・スクールでMBA 取得。76年ブリガムヤング大学にて博士号取得。『7つの習慣 成功には原則があった!』は世界で3000万部以上を記録。25年間にわたりリーダーシップの原則とマネジメント・スキルについて、ビジネス、政府、教育の現場を通して指導した。近著『第3の案』もベストセラーに。2012年に79歳で死去。