「成功による失敗」を避けるために
ジョーンズ氏は自分が成功した過程で、成功にたどり着くまでにしてきた努力を怠りはじめたという。たとえば顧客の獲得に必死になり、なんとか顧客が安定してくると、もう彼らのケアなどに腐心することはなくなってしまった。「やり遂げたから、もう楽ができる」 と思ったからだ。そこで、顧客はよりよいサービスを求めて他に移っていったという。
獲得した顧客は、努力しないままに自分についていてくれるとは限らない。少しでも間があけば、そこには溝が生まれるだろう。よほどのパイプがない限りは、自分を大切にしてくれる人のところに動いていく。よく言われる「返報性の法則」が働かなくなるのだ。
「返報性の法則」はご存知の方も多いだろう。人は何かしてもらったり受け取ったりしたとき、程度の差はあれ、それをしてくれた人に何かお返しをしなくてはいけない気持ちになることをいう。親切にしてもらったり、助けてもらったりしたときにお礼をしたくなるあの感覚だ。逆に、お礼ができないとどこかもやもやとした気持ちが生まれるかもしれない。これが「返報性の法則」と呼ばれるものだ。顧客をはじめとした人間関係は、ケアをおこたれば気持ちはすぐに離れてしまう傾向にある。
ジョーンズ氏は、成功したとたんに今まで努力してきたことを怠って投資などに目を向け、やがてビジネスはうまくいかなくなったそうだ。ところが、うまくいかなくなったところで、ある現象が起こったという。それは、自身がまた成功の原則に従って動き出したことだ。
「成功とは一方通行ではないんだと学びました。成功は、終わりのない旅です」
誰だって「成功したがために失敗する症候群」は避けたいだろう。そのためには、今まで目標を達成するためにとてつもなく長い時間続けた粘り強い努力を、到達したと勘違いせずにずっと継続させることが必要になる。
成功に甘んじることなく今までと同じ作業を繰り返すことで、ますますの発展が期待できる。そして、やがてはすべてが楽に回せるようになるようだ。「何事にも落胆しない・あくまでやり続ける・決して断念しない。この3つが大体において成功者のモットーである」のだから。
[脚注・参考資料]
Richard St. John’s, Success is a continuous journey , Posted Jun 2009