フェニックス市の場合は、職員をグループにわけ、その中で互いに支援させたり、プロのコーチや講師を招いたイベントも織り込んで、継続的にプログラムを実施した。ほかにも、健康にいいレシピを募集してレシピ集をつくり、その中の一番いいレシピに賞を与えたり、運動プログラムでは段階を踏んで、進歩がわかりやすいステップ式にしたりと工夫を凝らした。

こうしたプログラムを1年にわたって行ったところ、半分以上の職員が生産性低下の2つ以上のリスク要因を排除することに成功した。高血圧や、コレステロール値や血糖値などのリスク要因だ。

さらに、健康リスクをお互いに評価するプログラムや、メンタル面の健康増進プログラムからなるメンタルヘルス・イニシアチブ(MHI)を実施。労働災害および職業病の予防、慢性疾患の早期発見と早期治療に取り組んだ。

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図表4:生産性の損失が半減(フェニックス市)

その結果が図表4だ。1日中効果的に仕事ができるかどうか、業務遂行能力を時間で測った「時間スケール」、階段の上り下りや、ものを持ち上げたりおろしたりといった、仕事に必要な作業をする能力があるかを測定した「身体スケール」、実際に遂行した仕事量を測った「生産高スケール」のどれをとっても生産性の損失が大きく減少していることがわかるだろう。

また「精神・対人関係スケール」は、集中力の向上や、仕事のミスの減少、チームの他のメンバーと共同作業ができるかを評価したものだが、生産性の損失が半分に減少している。

「WLQ生産性損失スコア」は、時間、身体、生産高スケール等々すべてを考慮した生産性損失の割合を表しているが、このプログラム実施前は、6.8%だったのに対し、プログラム実施後は3.7%のみ。50%近くの生産性の改善が見られたといえる。