子どもの成長のために親がすべきこと

しかし、このような指導を親がするのは簡単なことではないかもしれない。

「もし、家計に少し余裕があるなら、小学校高学年~受験勉強が忙しくなる中学2年くらいまでの間に、週に1回くらいのペースで本を読むための家庭教師をつけるといい。その際、学生に頼むのではなく、すでにアカデミズムに入っている人に頼むことが大事。大学の助教クラスの人。こういう人たちが語学学校で教えたりしていますが、そこでのアルバイト代は45分で9000円くらい。1時間半だと18000円。語学のような特殊技能を必要としないから、1時間半1万円くらいでお願いしても、やってくれるのではないでしょうか」

当然のことながら、膨大な本の中から、何を選んで与えるかが重要だ。そこも家庭教師にお願いする。あるいは、佐藤さんを始め松岡正剛、立花隆、池上彰など、本読みたちの選書をまとめた本もたくさん販売されているので、参考にするのもいいだろう。

佐藤さんは『子どもの教養の育て方』(東洋経済)のなかで、小学校高学年には偉人伝(偕成社のシリーズなど)や、『二十四の瞳』『次郎物語』などの児童文学を薦めている。

前出「プレジデントファミリー」2015年秋号では、佐藤氏が、イートン校のブックリストを「リーダーとしての素養を磨く49冊」「視野を広げる36冊」などに分類したものを講評。「これらのブックリストは、完全に将来、人の上に立つエリートに対象を絞って選ばれています」(佐藤氏)。

また今回、プレジデントFamily編集部では、9月5日発売の秋号でイギリスのウィリアム王子やヘンリー王子も卒業した名門パブリックスクール・イートン校の図書館司書が選書したリストを紹介している。トップエリートとなる子供たちに読ませている本として非常に興味深い内容になっているので、ぜひ、参考にしてほしい。

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」というが、本は子供の人生の幅を劇的に広げてくれる。地獄のような戦争の現実、理想を掲げる人の美しさと危うさ、悪の理論、恋の悦びと狂気――。

「エリートは将来、指導者となって人を動かさないといけません。そのために本を通じて、幅広い代理経験を積んでおく必要がある。受験テクニックを磨くような勉強は、皆がしていて、受験産業も飽和している。そこでがんばっても限界がありますが、こういう訓練をしていると、ライバルに頭1つ、2つ抜き出ることができる。文学作品や哲学書を読んでもすぐに役立たないでしょう。しかし、かつて慶応大学の学長を務めた小泉信三が『すぐに役立つものはすぐに役立たなくなる』といったように、すぐに役立たない教養は生涯をわたって、子供を支え導いてくれます」

(以下、後編へ(「算数・数学」「英語」の早回し勉強法)

佐藤優(さとう・まさる)
作家、元外務省主任分析官。同志社大学大学院進学研究科修了後、外務省入省。外務省時代は優れた情報収集力と人脈を生かして、ロシアを始め世界のエリートと渡り合った。著書に『国家の罠』(毎日出版文化賞特別賞受賞)、『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞)他、多数。
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