カラダに何らかの支障が生じてから
普段の買い物などは、ヘルパーに付き添ってもらって、母が行っています。あとは、生協で食料品等を届けてもらったり、自治体の高齢者向けの弁当宅配サービスも利用したりしているようです。
私も妻と一緒に、月に1回ほど様子を見に帰っています。日帰りで、泊まりはしません。あの地方は、冬など本当に寒いんですよ。慣れない人は辛いでしょうね。行くと、かかりつけ医の定期検査に付き添って、お昼ごはんを一緒に食べ、毛布やシーツなど、実家の洗濯機で洗えないようなものを持って帰ります。定期的な仕送りなどはしていませんが、利用している施設での日帰り旅行の際は、ちょっとしたお小遣いを渡したり、何か頼まれたら買っていくくらいでしょうか。
母もお金については、「今のところは大丈夫だから」と言いますね。長男(66歳)は、東京に住んでおり、定年退職しましたが、車の運転ができないんですよ。実家は、車がないと不便な土地柄ですからね。長男の方は、年2回ほど自分の息子に乗せてもらって、家族で帰省しています。
私の方は自由業で、時間的にも融通がつきやすいですし、母の様子を、私が定期的に見にいくのは、自然な流れという感じです。とくに母のことを長男に逐次報告するようなことはしませんが、お互いちゃんと様子はわかっていると思います。もちろん年齢的にも、母のこれからのことは心配です。「ひとりの方が気楽」とか「さびしいのは慣れている」なんて、母は、周囲に言っているようですけれど、やはり風邪や体調が悪いときなど、不安に感じている様子は伝わってきます。
ただ、おそらく同居することになったり、施設に入所したりという状況になるのは、もう1段階、母のカラダに何らかの支障が生じてからのことではないかと考えています。その変化を感じ取り、すぐに対応できるように、かかりつけ医には、母の状態をかなり細かく説明してもらっています。仕事の関係上、医療に関する知識はかなりある方です。その点は母も安心しているんじゃないでしょうか。
でも、今の環境がよっぽど母に合っているんでしょうね。なんとなく、骨折して入院する前と比べても、ここ数年、体力や体調がほとんど変わっていないような気がします(笑)。
◆お金のプロからアドバイス
親の近くに住む親戚は、イザというとき一番頼りになる存在。日頃から良好な関係を保つのが大前提。地縁血縁の結びつきが強い地方では、ご近所を味方やサポーターにできるかどうかが、離れて住む親の介護を行う際の成否を分ける。
※本連載は書籍『50代からのお金のはなし』(黒田尚子著)からの抜粋です。