ただし、妻も働いているほうがいいとはいえ、子育てとのバランスは夫側にとっても難しい問題です。必要なのは、女性たちが“いいあんばい”で働ける環境です。いいあんばいといっても、それは個人によって異なりますが、例えば、子どもが小さいうちは午後4時には退社できるようにするといった最低限の制度がある会社でなければ、仕事と子育てを両立させることは難しいでしょう。
でも、スーパーバイザーやデザイナーといった専門職なら在宅でも問題ない。幸い、僕の会社は歴史が浅く、従業員もまだ250人程度。若い人が多く、これからの会社ですから、自分たちが新たに制度をつくっていくことができる。その点、価値観がしっかりと出来上がっている大企業は、長い歴史の中で先輩たちがつくってきた制度があるため、大変な一面もあるかもしれません。
しかし、共働きは不可能ではないと思います。女性が社会で働く分、男性が子育てに参加すればいい。僕は、子育てや家庭について男性が真剣に考えることは、仕事にもクリエーティビティを与えると思うんです。
よくワーク・ライフ・バランスといわれますが、仕事と家庭はゼロサムゲームじゃないし、決して矛盾するものでもない。どっちが家事を担当するとか、負担するとか押し付けあったりするのではなく、男性も時間に追われ、ジレンマを感じつつも、がんばって積極的に子育てに参加したほうがいい。その中で得られた「気づき」は仕事にとってもプラスだと思います。がんばって子育てしましょうよ。
1964年、福岡県生まれ。早大政治経済学部卒業後リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。2001年、コミュニティ・アンド・ストアーズ(現カフェ・カンパニー)を設立し、現職。妻はモデルの長谷川理恵さん。