リノベ効果で320人以上の雇用が生まれた

このスクールは2011年8月から産官学連携で年2回、各回4日間、これまで計8回開催されてきた。これまでに全国から470人の受講生が集まり、40件の事業プランが提案され、16物件が事業化された。魚町商店街の空き店舗が若手デザイナーやクリエーターのためのインキュベート(起業家支援)施設や手作り雑貨店に生まれ変わったたり、魅力的なリノベーション物件が次々に誕生している。

北九州市によると、リノベーション効果で計320人以上の雇用が生まれ、魚町銀天街の1日の通行量が11年から14年で約3000人増加したという。

こうした活動は行政からの補助金に頼らず、民間資金のみで空き家や空き店舗の活用や街づくりを推進している。補助金に頼らないのは「補助金継続の打ち切りや支援制度が終了したとき、事業継続に大きなリスクを抱える懸念があるから」(担当者)と、事業に必要な資金は金融機関からの融資でまかない、行政側は財政支援の代わりに事業評価制度を導入して金融機関から融資しやすい環境づくりでサポートする。

北九州市はこのスクールのさらなる発展を試みている。

「リノベーション事業計画コース」と名づけられたカリキュラムに加え、第5回からは期間中に建物改修の施工を実際に体験する「セルフリノベーション実践コース」、第6回からは魚町サンロード商店街を対象とした公共空間の利活用を実践する「公共空間活用コース」が始まった。

さらに第8回はリノベーションまちづくりを始めたいと考えている地方公共団体職員を対象に、「公務員のリノベーションコース」も開催された。先進地域の市町村の“リノベまちづくり”担当職員の体験談を学びながら、リノベーションまちづくりに取り組んだり、地元でリノベーションスクールを開催したりするために必要な考え方、準備段階での仲間づくり、庁内の調整、予算化の過程などを学ぶ。

この北九州市で行われている「リノベーションまちづくり」は単なるまちづくりの手法を学ぶだけではない。今後、実際に全国各地でまちづくりに取り組む「ひとづくり」に他ならない。

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