その決断ちょっと待った!
「里山暮らし」、あなたは本当に耐えられますか?
馬場さんの暮らしぶりを読んで、「『里山暮らし』も悪くないな」と思った読者もいるはずだ。だが、よく考えてみよう。あなたやあなたの家族は「里山暮らし」に向いているのだろうか。
一番大事なのは家族のコンセンサスである。馬場さんの場合、もともとアウトドア派の夫との間に「自然の中で子供を遊ばせたい」という共通の思いがあったが、「ご主人が大の釣り好きで夫婦で漁村に引っ越したものの、奥さんが移住先の生活に馴染めず出ていってしまった、という笑えない話もあります」と馬場さん。
“リアル”な里山の暮らしもハードルになる。古い農家は低気密・低断熱住宅。冬は「鼻先が凍るような寒さ」の中、眠ることになる。また、自然の中で暮らすということは、生き物と生活を共にすること。「ダイビングをしているようなものです」と話す馬場さん。
ただし、周りにいるのはきれいな魚ではない。馬場さんは両手を広げながら続ける。
「家の中にもこんなに大きなクモやゲジゲジが普通に出ますから、虫嫌いの人には過酷な環境でしょうね」
妻に「里山暮らし」を切り出すときは、こうした里山暮らしのリアルもしっかり伝えておくのが正解だ。
1973年生まれ。2007年から2地域居住を始める。建築ライターを続けながらNPO法人南房総リパブリック理事長として「里山学校」などを運営。著書に『週末は田舎暮らし』(ダイヤモンド社)。