やり手ベンチャー社長は自己評価が低い?
さて、では自信満々であればいいのでしょうか。実は、そうではないのです。
自信満々な人、例えば常に目標達成を追い求めている人も、自己評価が高いとは言い切れません。なぜなら、上記の例と逆で他人の欠点と自分の長所を比べて「自分は優れている」と確認したいといった心理的な背景が見られるケースがあるからです。
その頑張りは、強迫観念的な努力という側面があります。いわば「目標達成中毒」のような状況になるのは、低い自己評価から逃れて、見事目標に到達した高い自己評価イメージに融合したいからなのです。
多くの成功しているベンチャー企業の社長の本を取材・執筆している方によれば、彼ら・彼女らは、子どもの頃、親に認められなかったり、極貧生活を送ったりするケースが多いそうです。
そうした過去から脱出したいという願望が、「目標達成中毒」ともいえる莫大な上昇志向のエネルギーを生み出すことがあるのです。
言ってみれば、彼ら・彼女らは、等身大の自分では生きられていない。それは自己評価が安定していないということであり、その結果、目標達成で何とかバランスを取ろうと必死に「努力」するのです。
▼等身大の自分を愛する生き方
詩人・作家であるオスカー・ワイルドはこんな名言を残しています。
「自分を愛するというのは一生続くロマンスの始まりだ」
仮に幼少期に「お前はダメだ」というレッテルを張られて、それが本人の根強い信念となっていたとしても、それを全て親のせいにはできません。両親も良かれと思って頑張らせようとした「愛のムチ」であるだろうからです。
一方、大人になってからの自己評価については自分で責任を持たなければなりません。しかし通常、自己評価はあまり意識しておらず、「これが自分の性格だ」と思っているので自己評価を変えられると考えている人はほとんどいません。
ところが、自己評価を高め安定させることは、次のような習慣を着実に積み重ねることで可能になります。私がクライアントとのセッションで自己評価を扱うときの3つのポイントをご紹介しましょう。