「人食いバクテリア」劇症化にも注意!
急性糸球体腎炎とは、溶連菌感染症後10日~4週間後に発症しやすい病気で、顔やまぶた、足のむくみ、血尿、高血圧などの症状が出る。溶連菌感染症が治った後、尿検査をするのは腎炎になっていないかチェックするためだ。とはいえ、10日間抗生物質を飲み続けるのは大人でも嫌なもの。息子たちが保育時園児だったときに溶連菌感染症になったことがあるが、親も忙しい中、子供に10日間薬を飲ませるのは結構厄介だった。
子供に多い病気ではあるものの、決して小児特有の病気ではなく大人にもうつる。身近にも、1人の子が溶連菌感染症で休んだと思ったら、兄弟、両親、祖父母まで全員に感染した家があった。ワクチンはなく、予防は手洗い、うがい、マスク、コップやタオルの供用を避けるといった一般的な感染症予防法が基本だ。家庭の中で感染を避けるのはなかなか難しく、特に兄弟間の感染率は25%とされる。
ただ、溶連菌感染症自体は、前述のように治療法と合併症を予防する方法が確立されており恐れる必要はない。怖いのは、同じA群溶血性レンサ球菌が傷口やのどなどから血液中に入り劇症化したときだ。「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の初期症状は手足の痛みと腫れ、発熱で、気づいたときには手足の壊死、多臓器不全が進んで手遅れになる場合もある。発病後数十時間でショック状態を起こして約30%もの人が亡くなることから、「人食いバクテリア」とも呼ばれる病気だ。
国立感染症研究所によると、昨年は患者数が調査開始(1999年)以来最も多い273人に上り、今年も3月1日までに全国で90人の発症が報告されている。発症はまれで、すぐに抗菌薬を投与して壊死した部分を切除すれば治る可能性はあるとはいえ、なぜ劇症化するか、また、なぜ増加しているかは分かっていないのが不気味なところ。
特定の遺伝子の型を持つ溶血性レンサ球菌が劇症化することまでは解明されつつあるものの病気の進行を止めるのが難しい部分もあり、持病のない元気な人でもこの病気で命を落とす危険性があるのだ。手足のキズが化膿して発熱するなど、おかしいと思ったらすぐに医療機関を受診してみよう。一般的な溶連菌感染症も早めに小児科や内科を受診すれば重症化や合併症の発症を避けられる。