私の考える糖質制限食の基準は「1日の糖質量が130グラム以下」です。これは糖質制限食研究の草分けであり、糖尿病治療で多くの実績を残している米国のバーンスタイン医師の定義であり、世界の糖質制限食のスタンダードと言えます。

1日3食とすれば1食あたり40グラムという緩めの基準です。1食でおかずに加え主食であるご飯を半膳、トーストなら半切れ食べることができます。肉、魚も食べられるし、量もしっかり食べることができる。しかもカロリー計算が不要です。注意を払うのは糖質の摂取量だけなので長続きさせやすいでしょう。

お酒もOK。お酒の糖質は日本酒で1合8グラムほど。6枚切りの食パン1枚で30グラムなので3合飲んでも1枚分です。ビールは350ミリリットル缶で11グラム程度ですが何杯も飲めるところが欠点。ワインはグラス1杯で1グラム前後、焼酎はゼロです。肝機能などに注意しながら楽しんでください。

甘いものを食べない男性の場合、要注意なのはラーメンと炒飯、蕎麦といなり寿司といった「糖質の重ね食い」です。家庭ではおかずをたっぷり、ご飯は小盛り、甘味は低糖質甘味料を上手に使って献立を組み立てれば効果が期待できます。カロリーは原則気にしなくても大丈夫です。

家族で自分だけ糖質制限をしたい、という場合、例えばカレーライスならカレールウに小麦粉が使われている日本風のカレーではなくタイ風カレーにしてもらって糖分を控え、自分はジャガイモ、ご飯少なめ肉を多め、その分子供はご飯をたっぷり食べさせるなどで対応できます。

何よりも大切なことは長く続けること。それが肥満と生活習慣病を防ぐことにつながります。

北里研究所病院糖尿病センター長、医学博士 山田 悟(やまだ・さとる)
1994年、慶應義塾大学医学部卒業。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本糖尿病学会指導医、日本糖尿病学会学術評議員、日本糖尿病療養指導士認定機構編集委員など。『糖質制限食のススメ』など著書多数。
(構成=山本信幸)
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