ちなみにそんな鹿毛さんの考える苦手なタイプとは、

「金に汚いヤツですよ。それから、社長に俺の悪口言ってるヤツも。それは人としてどうかと思うし、苦手ですね。こういう人は、たとえ仕事ができても、仕事のスタイルが同じでも、コミュニケーションを取りたいとは思いません。特に社長に俺の悪口言ってるヤツ、こっちが何があっても同僚の悪口は社長にしないと誓っているのを知っていてやってる。絶対仕返ししてやろうと思ってます」

放送作家の田中さんは「本当に苦手な相手なら、最低限の挨拶程度で済ませる」と言う。

しかし、どうしても付き合わざるをえない相手の場合、どうすればいいのか。

「いがみ合っていても仕方ないので、相手のことを知るのが第一歩です。相手はどんな人と楽しくしゃべるのか、ほかの人への対応はどうなのかを観察すると何かヒントがあるかもしれません」(田中)

ただし、うまくいっている人と同じことをしてもダメ。仮に仲のいい人が肩をたたくなど、スキンシップを取っていたからといって、それを真似しても嫌がられるだけだ。あくまで参考情報にとどめたい。

「趣味などを探っておき、自分もそこに興味を持ってみる。そして、機会があるときにそういう話題を徐々に出して、相手の反応を見ることですね」(田中)

例えば相手の趣味が映画なら。

「自分も映画に興味を持つ。そして打ち合わせなどの場で、あくまでもさりげなく『あの作品はよかったです』などと話題を出して、様子を見る。『嫌なヤツだけど、こいつもあの映画好きなのか、ちょっとはマシなヤツなのかもな』などと思われたら、雪解けのきっかけになるかもしれません。ただし、間違っても、『今度一緒に見にいきませんか』などと大きく駒を進めてはいけない(笑)」と田中さんは釘を刺す。

【○】やり方は僕と違うけど、 それ、好きです。
【×】今度一緒に映画に行きませんか。

放送作家
田中イデア
テレビ、ラジオの番組構成などで活躍するほか、ワタナベコメディスクール、東京アナウンス学院などで講師を担当。著書『ウケる!トーク術』がロングセラー中。
 
アサヒビール 中国広域支社営業
伊藤大悟
1979年、奈良県生まれ。同志社大学文学部卒業後、2003年入社。中国地区最大手量販チェーンを担当するエース社員。状況が悪くなるほどに底力を発揮する広島の予算必達請負人。
 
エステー宣伝部長
鹿毛康司
1984年、早稲田大学商学部卒業後、旧・雪印乳業に入社。93年、米国ドレクセル大学でMBA(経営学修士)取得。2003年からエステー化学(現エステー)にて現職。著書『愛されるアイデアのつくり方』がベストセラーに。
(小原孝博、滑 恵介=撮影)
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