ファーストクラスの乗客たちは、アイコンタクトもさることながら、会話上手でもあるようだ。彼らは気さくに話しかけるのだが、聞くことが苦痛になるような話し方はしなかったという。
「以前、ご自分の経験談を話してくださった方がいました。まず、『僕、会社を倒産させたことがあるんだよ』とおっしゃるので、わたしも『えっ?』と驚き、つい身を乗り出してしまいました。すると、その反応をご覧になって『自己破産もして大変だったが、なんとか再起できた』と、その間の経緯を短いながら、とてもおもしろく語ってくださいました」
まず、相手の注意喚起を促し、興味を引いたら詳細を話していく。新聞の紙面でいえば、見出しで目を引き、本文を読ませるという流れだ。昔話のように最初から状況を詳細に伝えていく話し方では、相手に興味がなければただの無味乾燥な話。そのうえ、長々と話している本人の印象や評価さえ悪くしかねない。
「ビジネスマナーに『電話は3コール以内で応答』というのがあります。11秒のデッドゾーンと呼ばれるもので、これ以上待たせると、相手はイライラを募らせます。同じように長い話も相手を疲れさせてしまいます。ビジネスエリー聞け』という上から目線ではなく、まず相手の興味を引いたうえで、コンパクトにまとめることが非常に上手なのです」
彼らは、アイコンタクト、引きつける話題、「ありがとう」で相手を巻き込み、ファンに取り込んでいく、まさに“女たらし”ならぬ、“人たらし”なのである。
日系、外資系航空会社の国際線キャビンアテンダント(CA)として活躍後、女性の転職・就職を支援する会社CA-STYLEを立ち上げる。人財育成コンサルタントとして、現在も全国各地で講演・研修を行う。著書に、12万部のベストセラー『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』などがある。