音、振動、路面の衝撃吸収の問題点

良くない部分の代表格は、音や振動、路面の衝撃吸収など、感性評価に関わるところだ。まずはパワートレイン。前述のようにアコードハイブリッドのエンジンは、通常は発電機を回すためだけに用いられ、車軸とは結合されていない。これは本来騒音・振動面で有利なはずなのだが、バッテリーの残電力が少なくなっていったんエンジンが回り始めると、"ギュイーン"という低質な音が室内に伝わってきて、とたんに騒々しくなる。

その原因は、エンジン音と発電機の音をきっちり同調させるといった、音のチューニングがおろそかにすぎることだ。具体的には、ジェネレーターのメインノイズがエンジンのそれの2オクターブ上の音程で鳴るのだが、その音がジャスト2オクターブでなく、微妙にずれているのだ。例えで言えばオーケストラが演奏前に行う音合わせで、まだぴったり合わせきっていない段階のような音で、かなり耳障りに感じられる。よく聞けばノイズの絶対的なレベルはかなり低く抑えられており、機械で測れば静かな部類に入るであろう。が、耳を突く音というのはクルマとして良くない。

乗り心地も凡庸だ。一般に日本の道路の整備状況は良好だと信じられているが、幹線道路同士で比較すると、実は先進国の中では最低レベルで、1桁国道でも片側1車線の狭いところが多いばかりか、ほうぼうで路面が荒れている。足まわりのいいクルマだと、そういう道でも路面の荒れを舐めるように吸収してくれるのだが、アコードハイブリッドのサスペンションはフリクション感が強く、終始ガタガタという振動を室内に伝えてきて、フィーリングを安っぽいものにしてしまう。それでいて、長距離を走った時の疲れは極小。機械的な設計はビシッと決まっているのに、味付けで失敗している典型例だ。

インテリア、エクステリアともに400万円のクルマとは思えない安っぽい仕立てなのもマイナスポイントだ。北米の大衆車をベースとしているため致し方のないことでもあるのだが、たとえばマップランプひとつとっても、価格が半分程度のコンパクトSUV「ヴェゼル」でさえ白色LEDの艷っぽいものが奢られているのに、アコードハイブリッドのそれは四角いランプのレンズを押すと内部で豆電球が光るという、軽自動車かリッターカーのような仕立てだ。ダッシュボードやセンターコンソールに配された、灰色の木目調化粧板も、安っぽさを強調するだけでどうにもいただけない。