【参考資料:現代の主な「資格」の分類に関して】
調査結果とは別に、ちょっと資格そのものについて触れておきましょう。
資格には(1)国家資格、(2)公的資格、(3)民間資格と、大きくは3つあります。
(1)国家資格とは、「国が法律によって与える資格」です。法律に基づいて、国が試験や講習会を実施して与えます。国だけではなく、公益法人が試験や講習会を実施することもあります。例えば税理士については「税理士法」という法律があり、その職務や資格取得について定められています。情報処理技術者試験の場合は「情報処理の促進に関する法律」があります。
(2)公的資格は法律の定めはないけれど、各省庁が認定していたり、日本商工会議所などの公共性の高い組織や団体が発行体の資格です。公益財団法人日本英語検定協会が実施する「実用英語技能検定(英検)」、日商「簿記検定」などが、代表例でしょう。
(3)民間資格は民間企業や団体が、独自に発行する資格を指します。数は多く、トラブルが発生することもありますが、TOEICなど企業が評価する資格も含まれます。
一方、資格をその性質から分類すると、(1)資格がないと業務ができない「業務を独占する」資格と、(2)資格がなくとも業務ができる、いわば「能力を認定する」資格の2つに大きく分けられるでしょう。
(1)業務独占型資格には、企業や事業所に有資格者を置かないと業務を行うことができない、必置資格などと細かく分ける場合もあります(衛生管理者など)。しかし、ここではシンプルに業務独占資格とひとくくりにします。資格がないと業務ができないのは、法律に基づく国家資格だけです。弁護士や調理師、宅地建物取引主任者などはここに入ります。
(2)能力を認定する資格としては、国家資格では情報処理技術者や中小企業診断士、技術士や技能士などが該当し、公的資格と民間資格はみなここです。ただし、例えば、自治体が実施する商店街再開発において、中小企業診断士による経営診断を求められるケースもあります。再開発が現実に成功するのかどうかではともかく、開発のための公的な資金を引っぱってくるための材料として、必要とされるという形です。
新しい法律ができると、新しい国家資格が生まれることはよくあります。新しい公益法人、あるいは既存の公益法人が資格の発行体となり、管理や運営を引き受けます。公益法人は“天下り”の温床。国家資格であっても、役に立たない資格、時代遅れな資格はあるもの。しかし、資格をなくしてしまうようなことは、まずありません。省令を変えるなどで、使えない資格であっても使えるように“化粧”を施す。何より、公益法人を潰す、すなわち既得権益を放棄するようなことは、この国はしません。国の借金がどれほど増えようとも。
こうした構造もあるわけですが、まずは企業は資格をどう捉えているのか。ここが分かれば、個人として能力開発をどうしていくかを、何となくでも決めることができます。