能力発揮のために職責調整も必要
3つの強みを見きわめたら、次は、それらを生かせる仕事により多くの時間を使えるよう職責を調整することだ。バッキンガムは、それぞれの強みについて、次に記す4段階のアプローチを実行することを勧める。
・焦点を絞る
自分が今、強みをどのように、どれくらいの頻度で仕事に活用しているかを見きわめる。バッキンガムは、前述の著書で、ハイジというブランド・ディレクターの例を紹介している。ハイジは、自分の強みの1つを「優秀なホテルマネジャーのコンサルティングを手がけ、ナンバーワンにすること」だと見きわめていた。そして、リーダーシップ養成クラスで講義を行うときやコンサルティングの際に、この強みを活用するため、自分の時間の20%を関連する業務に割くことにした。
・強みを解き放つ
どのような状況で、どのような行動を取れば、強みを活用できるかを考えよう。たとえば前述のハイジは、ホテルのオーナーの要望を知るためにオーナー・グループと電話会議をすれば強みを生かせると気づいた。
・自己啓発する
強みをさらに生かすためのスキルやテクニックを身につける努力をしよう。ハイジの例で言うと、社内の別ブランドのブランド・ディレクターたちに、ホテルの業績向上のためにどのような取り組みをしているかを尋ねることにした。
・職務範囲を拡大する
強みに関する自分の事例を他人と共有するとともに、強みをさらに活用できるよう職務範囲を拡大するにはどうすればよいか考えよう。たとえばハイジは、次の週に別のブランド・ディレクターと会って、ホテルの実績を測定する方法について意見交換した。さらに、各マネジャーが属するホテルのコンサルティングを集中的に行うため職責をどう変えればよいか、上司と話し合った。
劇的に自分を変えるためには、仕事を強みのほうに徐々に押しやり、弱みから引き離すことだ。バッキンガムは「上司もおそらくそれを望んでいるだろう。それは成長のための責任を自分自身で引き受けるということなのだから」と語る。
では、自分を消耗させるが、職務にとってなくてはならない活動に関しては、どうすればよいのだろう。バッキンガムは次のような策を提案する。
まず、自分が弱みとする活動を強みとして代わりに引き受けてくれる人を探してみる。