睡眠の役目って?
睡眠は、心身の機能を回復、向上させてくれる。だから寝ずに考えるより、よく寝てフル充電された脳で考えるほうが効率的だ。寝だめは効果がない。日中に眠気を感じないほどの睡眠時間を、毎夜とり続けることがいいのだ。
「眠くなったら眠るのが睡眠と思っていたけれど、自分で心と体を寝かせなきゃいけなかったのね」
Aさんの自覚が一番の治療になったようだ。家事に対して完璧主義だったAさんだが「家事が終わらなくても23時には就寝」を守って、体が軽くなり心も徐々に回復した。
ある日、息子が「寝るってそんなに大切なわけ?」と言いだし、ちょっとしたバトルになった。夫が間に入って説明してくれたこともあり、思いがけず、息子が寝る前のゲームの時間を控え、早く寝るようになった。
実はAさんの夫も、自覚のない慢性睡眠不足だった。仕事から帰宅すると、晩酌してテレビをつけたまま就寝。しかしAさんが元気になる様子を見て、一変。眠りを浅くする晩酌は極力控え、仕事と家庭の切り替えに10分間の短いランニングをするようにした結果、深く眠れるようになった。帰宅時に駅を降りて、ネクタイをタオルに替えたのだ。
慢性睡眠不足は、忙しい40代にとって「仕方がないこと」で済ませてしまうことがある。しかし忙しいからこそフル充電が必要だ。
総合診療医。大村病院健診センター長。千葉大学医学部附属病院総合診療部。3人の男の子の母。総合診療医とは「何科に行ったらいいかわからない」症状に対して、“科”にかかわらず全体的に診断する。