11年にはタイで大洪水、12年には中国で反日暴動が発生し、日本電産も相応の痛手を負わされたが、冷静に見れば両国だけが特別に「危ない」わけではない。たとえばインドネシアでは給料のベースアップが年率20%を超え、製造業の収益を圧迫している。新興国に安全確実な国はないのである。リスク分散の考えに立つのは、兆円規模の世界企業としてむしろ当然のことだろう。

好むと好まざるとにかかわらず、日本電産は従来とは異なる新しいステージに立ったのだ。そこで私は最近、会社の大目標を一新することにした。

「100年先も生き残る企業」ということだ。

規模の拡大だけを追うのではなく、長期の視点から内容を充実し、社歴100年を超えても隆々とした姿でいられることを第一の目標にしたのだ。

日本電産社長 永守重信
1944年、京都府生まれ。67年職業訓練大学校(現職業能力開発総合大学校)卒業。73年に日本電産を創業し、現職。昨年度は、Kinetek、avtron、ASIなど海外企業を買収し、買収した会社は計37社に。「知的ハードワーキング」をモットーとする。
(面澤淳市(プレジデント編集部)=構成 永野一晃=撮影 AFLO=写真)
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