「だったらあなたがもっと稼いでよ。私は子供を育てているのだから」と言われかねない。妻に働いてもらいたいなら、家計のためではなく、自分自身のためと思わせることです。

確かに子育ても大事です。私自身も子供をしっかり社会に送り出すことは女としての大切な仕事だと思って3人を育てあげました。しかし子供というのは必ずいつか一人前になります。子供が自立した後の人生も決して短くはない。家庭の外に出てやりたいことを見つけることも大切だと上手に話してみてください。

妻が働く気になってくれたら就職先の相談にも乗りましょう。妻にとって再就職の1社目はとても重要。時間を空費するような仕事ではなく、何か目的を持った仕事に就くことをおすすめします。お金だけが目的のつまらない仕事に就くと、長続きしません。夫が妻の前職での経験と今後の目標を踏まえ、対等な立場からアドバイスをしてあげることです。

弊社のある女性店長は、夫が大手企業の営業部長をしていて、仕事で悩んだときには、夜中まで相談することもあるそうです。彼女は夫から営業のノウハウを教わっており、とてもいい夫婦関係を築いています。

また、妻の仕事を理解し、応援するだけでなく夫自身も自立する努力をしてください。私は専業主婦であった13年間は家事も育児も完璧にやっていました。だからこそ、仕事を始めた当初は完璧な家事ができずジレンマを感じたものです。そんなとき「埃じゃ死なない。1日くらい掃除しなくてもいいよ」という夫の一言に救われました。妻が働き出したのに、夫が今まで通りを求めると妻は疲れ果ててしまいます。「働いてほしいけどちゃんと5時には帰ってこい」などと自分に都合のいい要求ばかりする夫には妻に「働け」と言う資格はありません。夫としてそういう心構えも見せることが妻を働かせる原動力となるのです。

(登上幹千=構成 川本聖哉=撮影)