「敵の敵は味方」と考える
では、40.83をどう評価すべきか。
これはカイ二乗の確率分布表を見て判断します。
この場合であれば、有意水準5%、自由度1の境界値は、カイ二乗の確率分布表から3.84と読み取れます(図表3)。
境界値を大きく超えてしまいました。つまり、設定した前提にとっては、めったに起こらないことが起きる確率が非常に高いということです。
要するに、「関係がない」という前提は否定されて、その対立仮説、すなわち、「関係がある」という説を採用すべき、ということになります。
では、なぜ最初から「関係がある」ことを前提としないのでしょうか?
もしも、「関係がある」と考えた場合、関係の強さの幅は無限であり、人それぞれの差は無限にあるズレの一つにすぎません。
ところが、こうした個別に違うズレの発生を確率計算することは不可能です。そのため、その逆、つまり「関係がない」ことをあらかじめ正しい仮説として、これが否定される確率を求め、この値がある一定値より大きければ、「関係がある」と結論づけるわけです。
あえて、「そんなはずはない」という仮説、つまり無に帰したいと思う仮説を不本意ながら設定し、これを却下することで、本当に証明したかったこと、すなわち、「仲のよさと性格の類似性は関係がある」ということを立証します。
かなり屈折した考え方ともいえますが、「敵の敵は味方」という発想に似ていると感じた方も多いのではないかと思います。
まずは自分の主張を全否定する最大のライバルを論破しておくという戦術ですね。統計もなかなかやるものです。