がむしゃらに働いているのに小遣いはごくわずか。妻と子どもはそっぽを向き、老親の介護も。こんなに苦しいのに誰もわかってくれない――。ベストセラー『考えない練習』で読者から圧倒的な支持を得た名僧が、あなたの日頃の迷いに対して、考え方の筋道をわかりやすく説く。
親の介護で疲れるのは感情のトラブルではないでしょうか。親のほうには「子が親の面倒を見るのはあたりまえ」、子どものほうには「親であってもきちんと感謝してほしい」という気持ちがあり、そこから感情的なもつれが生じてきます。見方を変えれば、これは互いの支配欲の「権力闘争」といえるものです。
親は人生を通じて、子どもより上の立場に立ち、子どもを支配してきましたから、老いても子どもを自分の思い通りにしよう(しっかり面倒を見させよう)とし、子どもに向かって「上からものを言う」ところがあります。たとえば「ありがとう」と言いつつ、「もっとこうして」などと文句をつけたりする。
しかし親が老いるにつれ、親子の立場は逆転します。そこで、子どもは子どもで、かつて自分を支配していた親を、今度は自分が思い通りにしよう(きちんと感謝させよう)とします。そのために、つい親にきつい言い方をしたりして、自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
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(構成=岩原和子 撮影=若杉憲司)


