次に、相続資産が多く、相続税の税率が高い場合には、相続時精算課税制度を使うと不利になるケースがある。仮に1300万円について暦年課税で申告すると、基礎控除である110万円を差し引いた額に贈与税がかかるので、このケースでは40%(改正後)の税率が適用される。
もしも、相続税の税率がこれを超えそうであれば、相続時精算課税制度を利用せず、暦年課税で贈与税を支払ってしまうほうが有利になる。
少々ややこしいので、もう一度整理しよう。贈与を受けた金額のうち、500万円については、非課税の特例を使う。残りの1300万円については、将来の相続税によって変わる。相続税がかからない、あるいは税率が40%以下であれば、相続時精算課税制度を利用する。ただし、この場合は、年間110万円の贈与の基礎控除は使えなくなる。
相続税の税率が40%超であると見込まれるときは、暦年課税で贈与税の申告をしたほうが有利になる。
なお、500万円の非課税の特例を利用した場合には、建物価格からその金額を差し引いた額が住宅取得価格とみなされる。たとえば、500万円の非課税特例を利用すれば、購入価格から500万円を差し引くことになる。その分、住宅ローン控除の額が減ってしまうケースもあるだろう。減税を当て込んで買い物などをしてしまうと、予定が狂ってしまいかねないので、よく確認しておこう。