大仕事をしたいなら忍耐力が不可欠
私は32歳でサラリーマンの道を諦め、経営コンサルタントに転身した。上司との折り合いが悪かったのもひとつの理由だが、より大きかったのはある先輩社員に「あと20年我慢しろ」と言われたことだ。彼は「好きなことをするためには、あと20年我慢して、出世してからすればいい」と諭してくれたのだが、それは私にとって「火に油」だった。
確かに、大組織で自分が好きなことをするためには、少なくとも部長以上のポストに就かなければならない。それが現実なのだが、血気盛んな30歳そこそこの私は、「あと20年も我慢しなければならないのか……」と意気消沈した。
サラリーマンの世界で大きな仕事をしでかしたいと思ったら、忍耐力は不可欠だ。私にはその忍耐力がなかった。
人生における仕事の意味は人それぞれだ。もちろん仕事で成果を挙げるためには「能力」が必要だが、サラリーマンの世界ではその能力を活かすためのポストを手に入れるために、「出世」にこだわらなければならない。それはサラリーマンの宿命だ。
そして、もうひとつ重要なのが「時間軸」だ。私のようにせっかちで、生き急ぐタイプの人間にはサラリーマン稼業は向いていない。だから、私は自分の腕一本で食べていく道を選んだ。
しかし、一介のサラリーマンである限り、時間軸は長くとらざるをえない。じっくりと構え、力を蓄え、出世にこだわり、大きな仕事と出合えるチャンスを待つ。そして、いよいよ巡ってきたときに、組織をダイナミックに動かし、大きな仕事をしでかす。それこそがサラリーマンの醍醐味だ。