――20代でも年収3000万円。高給外資のイメージは崩れますか。

【外資B】すでに崩れていますよ。彼らの高給はボーナスに依るところが大きい。いわゆる業績給ですから、会社の業績が不振となれば当然、給料は激減します。サブプライム問題以降、証券化商品はまったくダメ。手数料収入は大幅に減っているだけでなく、四半期ごとに巨額の損失を計上している以上、年収の大幅ダウンは避けて通れません。

【外資C】リーマンの若手社員の中には、年収2000万~3000万円もざらにいましたが、もう望むべくもない。野村に拾われ、職が確保できただけでも御の字と思うべきでしょうね。これまで1億円だったリーマン社員の年収が1000万円になることだって十分に考えられますからね。


アメリカはリーマンを破綻させ、AIGを救済した。
――年収は10分の1ですか。それはきつい。

【外資A】外資系のほとんどは経営不振。日本にあるモルスタのオフィスでは、今年初めから春にかけて、リストラを3回も行っています。優秀な社員以外は行き先がなく、金融以外の職を探すしかない。外資系金融は極寒の時代を迎えた。私の収入だって減っていますよ。来年以降、世界経済はさらに厳しくなる。私の給料も同じです。新卒者の会社選びも大きく修正されますね。

【外資B】同感です。特に外資の若手社員は、高級マンション、高級ブランド服、高級料理といった具合に、衣食住ともに高年収に合わせた生活スタイルがほとんどでしたからね。これからは“高級”をすべてはずした生活をする必要がある。もっとも、これは若手社員に限った話ではありませんけどね。

【邦銀D】アメリカの不動産バブルがはじけて、欲に目の眩んだウォール街のバブルもはじけ、それにともなって高給バブルも吹き飛んだということですね。この状態は2~3年は続くでしょう。邦銀もかつて、公的資金投入では給料を減らされて身を縮めていました。邦銀の何倍、何十倍もの高給を取っていた外資をようやく嫉妬しないですみますね。

(宇佐見利明=撮影 AP Images=写真)