――9月29日深夜に、日銀の白川方明総裁が異例の記者会見を開きました。そこで「ドル市場は流動性が枯渇した状態」と発言しています。

【外資A】要するに非常事態ということです。金融機関はそのときどきの資金状況に合わせて、ドルや円などのお金の貸し借りを行っている。一般の人たちがローンを借りるのと同じようなことをやっているわけです。しかし、信用力が落ちればお金は借りられません。借りられるとしても高い金利を払わなければ無理です。

それがいまドル資金をやりとりする銀行間市場で起きている。経営不安にある銀行には、誰も貸さない。どの銀行が、どれだけの損失を抱えているかわからない状態なので、資金の出し手がいない。これを白川総裁は、「ドル市場の流動性が枯渇した状態」だといったんです。

【外資B】ロンドンの銀行間取引市場では、ドルの翌日物金利が1時7.8%に跳ね上がった。翌日返す資金を高い金利を払って借りなければならないわけです。しかし、そんな高い金利では借りられない。要は、資金の出し手が借りてくれるなと意思表示しているということです。資金を借りられないヨーロッパの銀行で、サブプライム関連などで体力を落としたところは、ますます経営が悪化する。企業が資金ショートを起こして倒産するのと同じ状態になっているんです。

【邦銀D】これはなにもロンドンの銀行間市場だけではありません。東京市場でも、一時期、通常より1%近い金利を上乗せしないと外資系金融機関はドル資金を手当てできませんでした。かつて、不良債権処理に苦しんだ邦銀が、上乗せ金利を支払って資金手当てしていた時期があった。当時、「ジャパン・プレミアム」といわれていましたが、いまは「欧米プレミアム」です。

――ヨーロッパでは、取り付け騒ぎも頻発しているそうですね。

【外資C】欧米だけではありません。香港やインドでも取り付け騒ぎが起きている。アメリカ、EUという2つの巨大市場の金融が機能不全に陥って、その影響は世界中に及んでいるということです。