仕事であれ情報収集であれ、自分1人でできることは限られている。自分がどれだけ勉強したとしても、得られる情報はそれほど大したものではない。だからこそ、情報を持っている人の所へどれだけフットワーク軽く教えを請いにいけるかが重要である。
これについてはアンケートでも興味深い結果が出ており、「同業他社やライバルであっても、情報をもらいにいくようにしている」人は、1500万円以上では52.4%と、500万円台の約1.4倍。高収入者のほうが、明らかにフットワークが軽いことがわかる。
同業他社に聞いても教えてくれないのではと思うかもしれないが、案外、差し障りのない範囲で公開してくれるものである。
私の経験上、同業他社に教えを請うて門前払いされた経験は、5回に1回くらい。ただし、教えを請うにはまずは自分から情報開示することが前提だ。「私たちはこういうビジネスをやっていて、この部分は理解しているけれども、この部分がわかりません。私たちの仮説はこうですが、どう考えますか」というように、教えを請うというよりも、自分たちが持つ情報を提供してから情報を得るというスタンスである。
実際、私も他の保険会社に教えてもらいにいくときは、最初にインターネットでの生命保険販売について包み隠さず話すようにしている。
情報は囲い込まずに世の中に発信すれば、その何倍にもなって返ってくる。躊躇せずに、むしろ同業他社にこそ話を聞きにいき、お互いにWin-Winの関係を築いていけばよいと思う。
【コラム】仕事の悩みは仕事と関係ない人に相談する→○
仕事上の悩みを相談する相手として真っ先に思い浮かぶのは、会社の同僚や気心の知れた友人だろう。そこで解決策が見つかることもあるが、往々にして愚痴のこぼし合いになってしまう。相談相手として私が頼りにするのは、他社の経営者や利害関係のない社外の人である。自分とは立場や目線の違う人の話を参考にすることで、意外な解決策にたどり着くこともある。
1976年、埼玉県生まれ。98年東京大学法学部卒。大学在学中に司法試験に合格。米ハーバード経営大学院に留学後、ライフネット生命の設立に参画。著書に『入社1年目の教科書』など。