時代に取り残されてまわりを責めてしまう
犬の散歩中に飼い主同士で立ち話をしていたら、いきなり見知らぬ高齢者から、「邪魔だ!」と怒鳴られた――こんな話をよく聞きます。
人間は年をとると人格が成熟し、丸くなるといわれます。しかしその一方で、店員に暴言を吐いたり、駅員に暴力をふるったりする高齢者も増えています。なぜ、年をとると怒りっぽくなるのでしょうか。
その理由の一つは、加齢にともなって脳が萎縮し、感情をコントロールする部位である前頭前野のはたらきが衰えること。そして、それよりも大きい理由として、年齢を重ねて時代の変化についていけなくなることです。
怒りっぽい人は、基本的に変化が苦手です。私もそうですが、現在50代以上の人は、昭和の価値観の持ち主です。それをアップデートできていない人が非常に多いのです。自分の考えや行動がもはや時代に合っていないことを思い知らされるような事件が起こると、事態を受け入れられず、怒りが噴出します。
私はご近所に住む70代の男性たちとよく一緒にゴルフや食事をするのですが、彼らはいつも怒っています。店員さんに対しても、「お膳を下げるのが早すぎる」「箸の置き方がなってない」など文句ばかりで、言い方も尊大なのです。見かねて「そういう言い方はダメだよ」と注意したら、「いやあ、昔はよかったな」と言っていましたから、彼らにも時代が変わったという認識はあるようです。若ければ自分を変えていく努力ができますが、高齢になるとそれも難しいのでしょう。「自分は悪くない。おまえたちがどうかしているんだ」と、周囲を責めてしまうのです。
子どもが老親に実家の片づけや運転免許返納を提案したとたん、親が怒り出したという話もよく聞きます。高齢者は自分が長い間大切にしてきたモノや社会とのつながりを失うことに、潜在的な不安を感じています。それが現実になることへの抵抗感が、怒りとなって表れるのでしょう。
キレる老人には関わらないのがベスト
怒れる老人と出くわしたら、「関わらない」「逃げる」のが一番です。
たとえば、こちらに非がないのに、通りすがりに叱られたような場合。相手の無礼さに腹が立って反論したくなるかもしれませんが、このような迷惑老人が求めているのは相手からの「反応」です。彼らは孤独なので、誰かの注意を引こうとしてわざわざ見知らぬ人を攻撃しています。反論したら相手の思うツボです。
反射的に「すみません」と謝ってしまう人もいますが、そうすれば相手は「やはり自分が正しい。社会の役に立つことを言ってやったぞ」と思い、同じ行動を繰り返します。黙ってその場から立ち去るのが一番なのです。
上司や顧客、自分の親族の中に怒りっぽい高齢者がいる場合は、できるだけ関わる頻度を減らすことです。たとえば週5日会う人なら3日に、1日1時間顔を合わせる人なら30分にする方法を考えましょう。
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