「日本を意のままにするステイタスを纏う」

もっとはっきりと「TOKYOの主(あるじ)となる場所がある。」(「プラウド恵比寿南」野村不動産・2017年築)と謳うものも。「特急停車の北野駅より、京王線を掌握。」(「シティハウス八王子北野ステーションコート」住友不動産・2017年築)という、鉄道を押さえにかかった例もある。クーデターか。

「六本木を掌中にして、静穏なる日常を叶える地。」(「ジオグランデ元麻布」阪急不動産・2017年築)という強気のポエムもあるが、うっかり六本木なんかを支配しちゃったら「静穏なる日常」など送れまい。「日本を意のままにするステイタスを纏う」(「シティハウス東京八重洲通り」住友不動産・2019年築)などというぶっそうなものもある。購入をためらうレベルだ。

東京駅八重洲口の風景
写真=iStock.com/7maru
東京駅八重洲口、2016年(※写真はイメージです)

このような、本気では受け止められないことを見越した威勢の良い言い方が可能なのは、マンションの購入は「決済が遠い」からだ。マンションはオンラインで購入ボタンを押せば買えるようなものではない。モデルルームに行き、そこで担当の営業がつきっきりになり、勤め先から家族構成から電話番号から年収から、およそあらゆる個人情報を差し出し、建設予定地周辺を下見し、クチコミサイトを覗き、銀行との折衝を行い……という長期にわたるプロセスの末に買うものだ。そして支払はローンという形でずっと続く。