カウンセリングで気づく「見逃していたこと」
カウンセリングやそれに類する語りの場を通して、嫌な時期をどんより覆っている黒い雲が払いのけられると、その時期の具体的なエピソードがつぎつぎに蘇ってくるものである。
たとえば、それが母親との確執で、母親に対する嫌悪感と世話になっている母親を憎む自分に対する自己嫌悪が黒い雲となって中学生・高校生時代の記憶を覆っているとする。その頃のことを思い出すのは苦痛なため、抑圧が働き、その時期の良い出来事も含めて具体的なエピソードをあまり思い出せなくなっている。
そんな人がカウンセリングやそれに類する語りの場で自分の成育史について語っているときに、当時の自分がうっかり見逃していたことに気づく。あの頃の自分たち家族の経済的基盤はどうなっていたんだろうということだ。父親が病気で突然退職することになり、母親が急遽働きに出たのだが、働きながら父親や自分たち子どもの世話をするのは容易でなかっただろう。いつもイライラしており、ちょっとしたことで怒鳴られ、口論になった。当時はそんな母親が嫌でたまらなかったが、今改めて振り返ってみると、それも仕方ないことと思える。自身も親になり、働きながら子育てしているので、そうした立場から振り返ったため、気づきが得られたのだろう。それによって母親に対する印象が一変する。
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