早期離職は本当に「増えて」いるのか

ところがいくつかのデータは、以上に述べたような状況を必ずしも支持していない。そもそも話題の中心となっている早期離職率(大卒)を見てみよう。

早期離職率は2013年(2010年卒)に31.0%を記録し、2023年(2020年卒)まで31.2%~32.8%を推移。ほとんど変わっていないのだ。この間は東日本大震災やリーマンショックの影響があったものの早期離職率の変化はほとんど見られない。グラフを見ると2024年(2021年卒)の「34.9」は確かに過去15年で最大である。ただ言うほど高いだろうか。2024年はコロナ禍のデータが出揃った時期であるものの、コロナ禍すら大きな影響を与えていない。

もちろん「34.9」は今後急速に起きる地殻変動の予兆である可能性もある。増加率にすると約8%で、けっして小さくはない。34.9を分解すると初年度と2年目がともに12.3と高めの値で、ただ3年目は10.3と過去10年並に戻っていた。しかし、予兆を裏付ける質的な指摘は見受けられないし、そもそもどの程度ならはっきり増えたと言えるのか、合意された基準はなく曖昧である。