地下6メートルに広がる「土の迷路」

実はこの場所にはもうひとつ地の利があった。地下6メートルに、誰かが掘った土室(穴倉)があったのだ。偶然なのか、新介が知っていたのかはもはや分からない。

この一帯は本郷台地といって、関東ローム層の一角となる。関東ローム層は、地盤が強固で吸湿性が高いことから、地下は年間を通して一定の温度を保っている。その特徴を利用して、米糀づくりのための土室がよく掘られていた地域だったのだ。