では、照井さんに速読法のポイントを教えてもらおう。ここで紹介する速読法を意識するだけでも「1.5~2倍は速くなる」そうだ。

速読の効果を知るために、まずは今の読書スピードを把握しておいてほしい。計測方法は、読みたい本を用意し、制限時間は5分でどれくらいの文章量が読めたか、読んだ文字数なり、ページ数なりをメモしておく。そして、この記事を読み終えた後に、同様の計測を行い、その結果を比べてみてほしい。

「速読≠目を速く動かす」

さて、照井さんが挙げる速読を身につけるためのポイントは3つ。(1)本の種類別の読み方を知っているか、(2)速く見ることができるか、(3)見るべきポイントがわかっているか。「これが速読の3大スキルです」(照井さん)

1つめの本の種類は、大きく2つに分かれる。1つは、子供向けの参考書や学習ハウツー本(「作文の書き方」「読解力を上げる本」など)や、大人向けのビジネス書などの実用系の本である。もう1つは、小説だ。「まず、本によって読み方が違います。実用系の本であれば、何か目的があって読むわけですから、そこを明確にすること。これだけでも読むモチベーションが向上しますし、見るべきポイントも明確になり、読書スピードも向上します。読む前に、“なぜ、この本を読むのか”をノートなどに書きだすのもおススメ。小説の場合は登場人物を好きになることで、その人物の言動を追いやすくなります」

2つめの「速く見る」とはどういうことだろうか。これには「視野」が関わってくる。「文字を1文字ずつ、上から追っていく習慣がついてしまっている人が多いのですが、実は、視覚はもっと広い範囲の情報をとらえることができます」(照井さん)

視野を広げるトレーニング。顔を正面に向けたまま、指がどこまで見えるか確認。読書前にこれをやることで、視野の広さを再認識できる。

ためしに、自分の視野を確認してみよう。両腕を前に伸ばし、指を立て、動かしながら広げていく。左右両方の指の動きが確認できる限界の位置はどうだろうか。「ご自身が思っているより、広く見えると実感できるでしょう。この広い視野を、うまく活用していただきたいのです」(照井さん)

視野を広げるとともに、文字は「読むもの」ではなく「見るもの」との意識付けが欠かせない。これには「盲視」なるキーワードが深く関わってくるという。