「『見ていると意識していなくても、脳に記憶されている』といった状態にすることを盲視と言います。速読に応用するには、文字を『視野に入れる』ことによって『頭に入れる』につなげるわけです。この盲視が速読の中でも非常に大事なプロセスになります。一度頭に入れてしまえば、読む際に定着の仕方や読むスピードが変わってきます。盲視をする際には、一文字一文字を追いかけるのではなく、段落やブロックごとのかたまりで“見る”ことにより、テンポよく素早くページをめくっていきます。最初から大きなブロックでとらえるのは難しいので、徐々に文字数を増やしていくのがいいでしょう」(照井さん)

盲視が終わったら、次は本の真ん中あたりの位置で指を走らせ、それを目線で追いかけるようにして読んでいく。「目線が自然と上から下に文字を追っていく癖を直すことができます」(照井さん)。目線が指先に固定されるから安定して“見る”ことができるようになり、ついつい前に戻ってしまう2度読みを防ぐことにもつながる。「読んでいてわからない部分があっても、それが重要なことであれば、後ろに出てくる話によって理解できることが多いものです。速読を身につけたければ、どんどん前に読み進めていくことを心がけてください」(照井さん)

3つめの「見るべきポイント」とは、「見出し」「最初と最後の段落」「接続語」「文末」である。重要度の優先順位をつけることにもなるので、重要ポイントをすぐに読み取れる力がつく。入試などの読解問題に対処する能力にも直結する。

「見出し」は、後に続く文章を端的に表したものだ。そして、その見出しについて筆者が最も言いたいことは「最初の段落」か「最後の段落」に書かれていることが多い。

「接続語」には、5つのパターンがあると知っておくことが重要だ。

(A)「だから」「したがって」など……前の内容が原因・理由となり、その結果が次にくる。
(B)「しかし」「けれども」など……前の内容とは逆の結果が次にくる。
(C)「一方」など……前の内容について後の内容が対比・比較をする。
(D)「すなわち」「つまり」など……前の内容についての要約が次にくる。
(E)「たとえば」など……前の内容についての例示・説明が次にくる。

「重要な接続語は段落の最初にある点にも着目しましょう」(照井さん)

「文末」が重要であることは、日本語の特性上当然だ。ここを見なければ、イエスに転ぶのか、ノーに展開するのかなど、結論がわからないのだから。